2026.10.29
「FSHが高いと言われたけれど、妊娠できるのだろうか?」
「卵胞がなかなか育たない」
「採卵できる卵子の数が少なく、これからの治療が不安......」
妊活中にこのようなお悩みを抱えていませんか?
FSHは、卵巣の状態を知るための大切なホルモンです。
しかし、FSHが高いからといって、妊娠できないと決まるわけではありません。
大切なのは、今の卵巣の状態を理解しながら、妊娠に向けて何ができるのかを考えていくことです。
今回は、FSHの働きや卵胞の発育との関係、そして漢方で大切にしている妊娠に向けた体づくりについてお話しします。
FSHが高いと言われたら、妊娠は難しいのでしょうか?
こんにちは。小諸市の勉強堂薬局です。
妊活相談では、FSHの数値について不安を感じている方から、次のようなお話を伺うことがあります。
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FSHが高く、卵胞がなかなか育たない
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排卵誘発剤を使っても、卵胞の発育が思わしくない
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体外受精を予定していたのに、採卵が見送りになった
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採卵できる卵子の数が少なく、今後の治療が心配
病院で「FSHが高いですね」と言われても、その数値が何を意味するのか、よく分からないという方もいらっしゃると思います。
「卵巣の働きが低下しているの?」
「もう卵子が育たないのでは?」
「自然妊娠は難しいの?」
このような不安を感じることもあるでしょう。
しかし、FSHはあくまでも卵巣の状態を知るための指標の一つです。
FSHの数値だけで、妊娠の可能性が決まるわけではありません。
まずは、FSHがどのような働きをしているのか見ていきましょう。
FSH(卵胞刺激ホルモン)とは?
FSHは「卵胞刺激ホルモン」と呼ばれ、脳の下垂体から分泌されるホルモンです。
その名前のとおり、卵巣にある卵胞の発育を促す大切な働きをしています。
月経が始まる頃からFSHの刺激によって卵胞が育ち始め、卵胞が発育すると、卵巣からエストラジオール(E2)などのホルモンが分泌されます。
これらのホルモンは脳にも働きかけ、FSHの分泌量を調節しています。
ところが、卵巣がFSHの刺激に反応しにくくなっている場合には、脳が卵巣をさらに刺激しようとして、FSHの分泌が増えることがあります。
つまり、FSHが高いということは、卵巣の働きの変化がホルモンの数値に表れている可能性があるということです。
FSHが高いから卵胞が育たなくなるという単純な関係ではなく、卵巣の状態を反映してFSHが高くなっている場合があると考えることが大切です。
FSHが高いと、卵胞の発育や採卵に影響するの?
月経初期のFSHが高い場合、卵巣予備能が低下している可能性があります。
卵巣予備能とは、卵巣に残っている卵胞の数や、排卵誘発に対する反応を考える際に用いられるものです。
FSHが高い方では、次のような傾向がみられることがあります。
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卵胞期が短くなる
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排卵が早まる
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排卵誘発剤への反応が弱くなる
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採卵できる卵子の数が少なくなる
ただし、FSHが高いからといって、必ず排卵できなくなるわけではありません。
また、FSHは月経周期によって変動するため、一般的には月経開始から2~4日目頃の数値を確認します。
卵巣の状態を考える際には、FSHだけでなく、AMH(抗ミュラー管ホルモン)やE2、超音波検査で確認できる卵胞の数、年齢なども参考にします。
AMHは、卵巣に残っている卵胞の数を推測するための指標の一つです。ただし、AMHも卵子の質や自然妊娠の可能性を直接示すものではありません。
FSHやAMHは大切な検査項目ですが、数値だけで妊娠の可能性を判断することはできないのです。
漢方では「卵巣が働きやすい体」を目指します
FSHが高いと言われると、どうすれば数値を下げられるのかと考える方もいらっしゃると思います。
しかし、妊活で大切なのは、FSHの数値だけに目を向けることではなく、妊娠に向けて今できることを考えていくことです。
現在の医学では、加齢などによって減少した卵子の数を増やすことはできません。
そのような中で、漢方では妊娠に向けて体全体の状態を整えることを大切にしています。
例えば、
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卵胞の発育を支えるための体づくり
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体を養うための食事や胃腸の働き
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気血の不足や巡りの状態
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冷えやほてり、疲れ、睡眠などの不調
こうしたことに目を向けながら、一人ひとりの体質に合わせて漢方を考えていきます。
同じFSH高値という悩みがあっても、体の状態は一人ひとり異なります。
冷えが強い方もいれば、ほてりや乾燥が気になる方もいます。
経血量が少なくなっている方、胃腸が弱い方、ストレスや緊張による不調が目立つ方もいらっしゃいます。
漢方では、このような違いを大切にします。
そして、妊活の体づくりでは、特に「腎(じん)」「肝(かん)」「脾(ひ)」という3つの働きに目を向けていきます。
妊活漢方で大切にする「腎・肝・脾」の働き
漢方では、体を部分ごとに切り離すのではなく、それぞれの働きが関わり合いながら全身のバランスを保っていると考えます。
妊活においても、生殖に関わる働きだけでなく、気血の巡りや、体を養う力まで含めて考えることが大切です。
① 腎(じん)──生殖や成長を支える働き
漢方では「腎は精を蔵し、生殖を主る」と考えます。
腎は、成長や発育、生殖、加齢などに深く関わる働きを担うとされ、妊活漢方では特に大切にされています。
漢方では、腎の働きが弱まった状態を「腎虚(じんきょ)」と呼びます。
腎虚の傾向がある方では、
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月経量が以前より少なくなる
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生理周期が短くなったり、不規則になったりする
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卵胞の発育や排卵に関する悩みがみられる
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冷えやほてりを感じやすくなる
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疲れやすくなる
といった状態に目を向けることがあります。
こうした変化がみられる場合、漢方では腎の働きを補い、体を養う「補腎(ほじん)」という考え方を大切にします。
また、腎虚にも、冷えが目立つ「腎陽虚」や、ほてりや乾燥が目立つ「腎陰虚」などがあり、必要な養生や漢方の選び方は異なります。
妊活漢方では、腎の状態を見極め、その方に必要な働きを補うことが、体づくりの大切な基本になります。
② 肝(かん)──血を蓄え、気血の巡りを調節する働き
漢方では、肝は血を蓄え、気の巡りを調節する働きを持つと考えます。
生理周期や月経の状態を考えるうえでも、大切な働きの一つです。
例えば、
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生理前にイライラしやすい
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胸やお腹が張る
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肩こりや頭痛が気になる
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生理痛がある
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経血に塊が混じる
といった症状がある場合、漢方では気血の巡りに目を向けることがあります。
妊活中は、治療結果への不安や通院の負担などから、気持ちが落ち着かなくなることもあると思います。
漢方では、気の巡りが滞った状態を「気滞(きたい)」と呼びます。
また、血の巡りが滞った状態を「瘀血(おけつ)」と呼びます。
このような場合には、気血の巡りを整える「疏肝(そかん)」や「活血(かっけつ)」などの考え方を取り入れます。
また、漢方には「肝腎同源」という言葉があります。
肝と腎は互いに関わり合う働きと考えられており、腎を養うだけでなく、肝の状態にも目を向けることが大切です。
体を養うことと、気血を巡らせること。その両方を考えるのが漢方の特徴です。
③ 脾(ひ)──食べたものから気血を生み出す働き
漢方でいう脾は、食べたものを消化吸収し、体に必要な気や血を生み出す働きと関係しています。
どれだけ体によいものを食べても、胃腸の調子が悪ければ、十分に食事を取れなかったり、栄養が偏ったりすることがあります。
漢方では、脾の働きが弱まった状態を「脾虚(ひきょ)」と呼びます。
例えば、
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食欲があまりない
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胃がもたれやすい
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食後に眠くなりやすい
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疲れやすく、体がだるい
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軟便や下痢になりやすい
といった症状がある場合、脾の働きに目を向けることがあります。
漢方では、脾は気血を生み出す源と考えられています。
そのため、体を養うためには、まず胃腸の働きを整えることが大切だと考えます。
このような場合には「健脾(けんぴ)」や「補気(ほき)」という考え方を取り入れます。
妊活中は、卵子やホルモンのことばかり気になってしまうかもしれません。
しかし、毎日の食事をおいしく食べられること、疲れをためずに生活できることも、体づくりの大切な土台です。
腎を養い、肝の巡りを整え、脾の働きを支える。
漢方では、この3つの働きをそれぞれ独立したものではなく、互いに関わり合うものとして考えていきます。
血を「満たすこと」と「巡らせること」も大切にしています
勉強堂薬局では、妊活の体づくりにおいて、もう一つ大切にしている考え方があります。
それが、血を「満たすこと」と「巡らせること」です。
漢方でいう「血(けつ)」は、体を養い、潤す働きを持つものと考えます。
この血が不足している状態を「血虚(けっきょ)」、血の巡りが滞っている状態を「瘀血(おけつ)」と呼びます。
例えば、経血量が以前より少なくなり、疲れやすさや肌の乾燥などもある場合には、血虚の傾向を考えることがあります。
一方、生理痛や経血の塊、肩こりなどがある場合には、瘀血の傾向を考えることがあります。
漢方では、血を補う「補血(ほけつ)」と、血の巡りを整える「活血(かっけつ)」を、その方の体質に合わせて考えます。
血を満たすことが必要なのか、巡りに目を向けることが必要なのか。
勉強堂薬局では、生理や基礎体温、冷え、睡眠、胃腸の状態などを確認しながら、お一人おひとりに合った体づくりを考えています。
妊活中は、毎日の生活も大切にしましょう
漢方による体づくりとともに、日々の生活習慣を整えることも大切です。
特別なことを始める必要はありません。
まずは、毎日の生活の中で取り入れやすいことから意識してみましょう。
食事はバランスよく、胃腸に負担をかけすぎない
たんぱく質や鉄、葉酸など、体に必要な栄養素を不足なく取ることが大切です。
肉や魚、卵、大豆製品、野菜などをバランスよく取り入れましょう。
妊娠を希望する方には、通常の食事に加えて、サプリメントなどから葉酸を1日400μg摂取することが推奨されています。
胃腸が弱い方は、食べ方や食事の量にも気を配り、ご自身が無理なく食べられることを大切にしてください。
睡眠と休息を大切にする
妊活中は、治療のことが気になり、気持ちが休まらないこともあると思います。
疲れがたまっているときは、無理をせず、十分な休息を取ることも大切です。
毎日の生活リズムを整え、心身を休める時間を意識してみましょう。
無理のない運動を続ける
散歩や軽いストレッチなど、無理なく続けられる運動は、健康維持や気分転換にも役立ちます。
寒い季節は体を動かす機会が減りがちですが、日中の暖かい時間に歩くなど、ご自身の体調に合わせて取り入れてみましょう。
体の小さな変化にも目を向ける
基礎体温や生理周期、経血の量、冷えや疲れなど、普段の体調を振り返ってみることも大切です。
漢方相談では、こうした日々の変化が体質を考えるための大切な手がかりになります。
妊娠に向けた体づくりは、特別なことばかりではありません。
毎日の食事や睡眠、適度な運動など、日々の生活を整えることも、その大切な一歩です。
ご自身の体の状態に目を向けながら、無理なくできることから始めていきましょう。
勉強堂薬局では、妊娠を目指す方の体質や体調に合わせて、漢方による体づくりをご提案しています。
どうぞお気軽にご相談ください。
執筆者
平尾 利枝
薬剤師
日本不妊カウンセリング学会 会員
勉強堂薬局で妊活・不妊相談を担当。薬剤師としての知識を生かし、病院での検査や治療状況も確認しながら、漢方の視点からお一人おひとりの体調や体質に合わせた妊活の体づくりをサポートしています。


