2026.09.07
「子宮筋腫があります。妊娠に影響しますか?」というご相談をいただくことがあります。
子宮筋腫の場所や大きさによる影響を確認することはもちろん大切です。
しかし妊活では、筋腫だけに目を向けるのではなく、月経や基礎体温などから「今の体がどのような状態なのか」を見ていくことも大切です。
子宮筋腫があると、妊娠に影響するのでしょうか?
こんにちは。
小諸市の勉強堂薬局です。
妊活相談をしていると、
「婦人科で子宮筋腫があると言われました」
「筋腫があると妊娠しにくいのでしょうか?」
「体外受精を始める前に、筋腫を取った方がいいですか?」
といったご相談をいただくことがあります。
子宮筋腫は、子宮の筋肉にできる良性の腫瘍です。
子宮筋腫があるからといって、それだけで妊娠できないと決まるわけではありません。
一方で、筋腫のできている場所や大きさ、数、子宮内腔への影響などによっては、妊娠や不妊治療に影響することがあります。
そのため、まず大切なのは、
「筋腫があるか、ないか」だけではなく、「どこに、どのような筋腫があるのか」を知ること。
そして勉強堂薬局では、もう一つ大切にしていることがあります。
それが、筋腫そのものだけでなく、月経や基礎体温、冷え、疲れなどから、その方の現在の体質を考えることです。
子宮筋腫は、できる場所によって影響が異なります
子宮筋腫は、できる場所によって主に3つに分けられます。
粘膜下筋腫
子宮の内側、子宮内膜に近いところにできる筋腫です。
子宮内腔に向かって突出することがあり、比較的小さくても過多月経や不正出血などの症状につながることがあります。
また、受精卵が着床する子宮内腔に影響するため、妊活中の場合には、その位置や大きさなどによって治療が検討されることがあります。
筋層内筋腫
子宮の筋肉の中にできる筋腫です。
筋腫の大きさや位置によっては、子宮内腔を変形させたり、月経量が増えたりすることがあります。
妊娠への影響についても、「筋層内筋腫がある」というだけで判断するのではなく、大きさや位置、子宮内腔への影響などを含めて考える必要があります。
漿膜下筋腫
子宮の外側に向かってできる筋腫です。
子宮内腔への影響が少ない場合には、粘膜下筋腫などと比べて妊娠への影響が小さいこともあります。
一方、大きくなると周囲の臓器を圧迫し、頻尿や下腹部の圧迫感などの症状につながる場合があります。
📌 POINT
「子宮筋腫がある=妊娠できない」ではありません。
同時に、
「小さいから妊娠には関係ない」と自己判断するものでもありません。
妊活中に筋腫が見つかった場合には、位置、大きさ、数、子宮内腔への影響などについて、婦人科で確認しておくことが大切です。
子宮筋腫がある方は、毎月の生理も確認してみましょう
筋腫の場所や大きさだけでなく、普段の生理も大切な情報です。
例えば、
- 以前より経血量が増えてきた
- 大きな血の塊が出る
- 生理痛が強くなった
- 生理が長引くようになった
- 貧血を指摘された
- 生理中の疲れや息切れが強い
といった変化はないでしょうか。
特に粘膜下筋腫や子宮内腔に影響する筋層内筋腫などでは、経血量が増えることがあります。
経血量が多い状態が続けば、鉄欠乏性貧血につながることもあります。
「昔から量が多いから」
「毎月塊が出るから、これが私の普通」
と思っている方もいらっしゃいます。
しかし、以前と比べて量が増えていないか、塊が大きくなっていないか、生理痛が強くなっていないかなどを普段から確認しておくことが大切です。
また、過多月経や強い生理痛は子宮筋腫だけでなく、子宮腺筋症や子宮内膜症などでもみられることがあります。
症状が強い場合や以前と明らかに変わってきた場合には、「体質だから」と考える前に婦人科で確認しましょう。
子宮筋腫による過多月経から「血虚」につながることも
ここからは漢方の視点で考えてみましょう。
例えば、子宮筋腫の影響で月経量が多い状態が続いている方。
出血量が多ければ、医学的には鉄欠乏性貧血につながる可能性があります。
一方、漢方では、体に必要な「血」が不足した状態を**「血虚(けっきょ)」**と呼びます。
漢方でいう「血」は、現代医学の血液とまったく同じ意味ではなく、体に栄養や潤いを届ける働きまで含めた考え方です。
血虚では、
- 疲れやすい
- 顔色が淡い
- めまいやふらつき
- 肌や髪の乾燥
- 爪が割れやすい
- 眠りが浅い
などの症状を体質判断の参考にすることがあります。
つまり、筋腫そのものだけを見ていると分かりませんが、
筋腫の影響で経血量が増えている
↓
毎月多くの血を失っている
↓
貧血や、漢方でいう「血虚」の状態も考えられる
ということがあります。
妊活では、この「血が足りているか」という視点も大切にしています。
漢方では、子宮筋腫がある方の「血の巡り」にも目を向けます
もう一つ、子宮筋腫がある方の漢方相談で大切にしているのが、「瘀血(おけつ)」です。
瘀血とは、漢方でいう「血」の巡りが滞った状態を表します。
例えば、
- 経血の色が暗い
- 大きな血の塊が出る
- 生理痛が強い
- 刺すような痛みがある
- 下腹部に痛みや違和感がある
などを体質判断の参考にします。
ここで誤解していただきたくないのは、
⚫️「子宮筋腫ができる原因=瘀血」という意味ではありません。
子宮筋腫の発生や増大には、女性ホルモンなどさまざまな要因が関係すると考えられており、漢方の「瘀血」だけでその原因を説明することはできません。
一方で、漢方相談では病名だけを見るのではなく、
「子宮筋腫があるこの方の体は、今どのような状態なのか?」
という視点から考えます。
そのとき、経血の塊や色、生理痛など瘀血を考えるサインがあれば、妊活に向けた体づくりの中で整えていきたい体質の一つとして考えます。
なぜ妊活では「瘀血」に目を向けるのでしょうか?
子宮筋腫があると、どうしても、
「筋腫が妊娠を邪魔しているのでは?」
「筋腫を取れば妊娠できるのでは?」
と、筋腫そのものに意識が向きやすくなります。
もちろん、筋腫の位置や大きさによっては、妊娠に向けて手術などの治療が必要になる場合があります。
そこは婦人科で判断していただくことが大切です。
しかし、漢方ではそれとは別に、妊娠に向けた現在の体の状態を考えます。
妊活では、卵子、精子、排卵、受精だけでなく、受精卵を迎える子宮環境も大切です。
勉強堂薬局では、その体づくりを考える際に、
必要な血が「満たされていること」
そして、
その血がきちんと「巡っていること」
の両方を大切にしています。
そのため、瘀血のサインがある方では、その状態を整えていくことを、赤ちゃんを迎えるための体づくりの一つとして考えています。
これは、
「瘀血を改善すれば着床する」
という意味ではありません。
着床には、胚側・子宮側を含め、さまざまな要因が関係します。
その中で漢方では、瘀血の状態を整えることも、妊娠に向けて体調や体質を整えていくうえで大切な視点の一つと考えています。
「血が足りないのに、巡りもよくない」こともあります
ここは、妊活相談で特に大切なところです。
「子宮筋腫=瘀血だから、とにかく血を巡らせればいい」
というほど単純ではありません。
例えば、もともと瘀血のサインがある方が、過多月経によって毎月多くの血を失っていたらどうでしょうか。
その場合、
「瘀血」+「血虚」
という二つの状態が重なっていることも考えられます。
つまり、
血は不足しているのに、巡りもよくない
という状態です。
そのような方に「巡らせること」だけを考えるのでは十分ではありません。
だからこそ勉強堂薬局では、妊活の体づくりにおいて、
🔴 血を「満たすこと」と「巡らせること」
この両方を大切にしています。
また、疲れやすい、胃腸が弱い、食欲がないといった方では、体を支える「気」が不足した**気虚(ききょ)**を考えることもあります。
出血の状態や、ほてり、のぼせなどがみられる場合には、漢方でいう「血熱(けつねつ)」を考えることもあります。
漢方で考える過多月経の体質
漢方では、過多月経や出血の状態を見るとき、主に次のような体質を考えることがあります。
① 瘀血(おけつ)
血の巡りが滞った状態。経血の色が暗い、塊が多い、生理痛なども合わせて確認します。
② 血熱(けつねつ)
漢方でいう「血」に熱がこもった状態。出血の状態だけでなく、ほてりやのぼせなども合わせて考えます。
③ 気虚(ききょ)
体を支える「気」が不足した状態。漢方では、血をとどめておく働きが弱くなり、出血が長引く場合などにも考えます。
これらは、「この体質だから子宮筋腫ができた」という意味ではありません。
子宮筋腫がある方の月経や全身状態を漢方の視点から見たときに、現在どのような体質が重なっているのかを考えるためのものです。
子宮筋腫があったら、手術をした方がいい?
これは一概には言えません。
筋腫の位置や大きさ、数、症状、年齢、これまでの妊活歴、不妊治療の状況などによって治療方針は変わります。
特に妊娠を希望している場合には、筋腫が子宮内腔に影響しているかどうかも重要です。
また、体外受精を予定している方では、採卵や胚移植との兼ね合いも含めて治療方針が検討されることがあります。
場合によっては、妊活を進める前に筋腫の治療が優先されることもあります。
一方で、筋腫が見つかったからといって、すべての方に手術が必要なわけではありません。
手術にもメリットとデメリットがあるため、
妊娠を希望していることを主治医に伝えたうえで、自分の場合はどのような選択肢があるのかを相談すること
が大切です。
筋腫を治療しても、妊活の体づくりは続きます
手術などで筋腫そのものを治療することと、漢方で体質を考えることは、どちらか一つを選ぶものではありません。
病院では、筋腫の大きさや位置、妊娠への影響を医学的に確認し、必要な治療を行います。
一方、漢方相談では、
- 月経量
- 経血の色
- 経血の塊
- 生理痛
- 基礎体温
- 冷え
- 疲れ
- 胃腸の状態
- 睡眠
- ストレス
などを確認しながら、その方の現在の体質を考えていきます。
筋腫だけを見るのではなく、赤ちゃんを迎えるために「今の体をどう整えていくか」を考える。
それが、勉強堂薬局が子宮筋腫のある方の妊活相談で大切にしていることです。
子宮筋腫があるからこそ、体からのサインにも目を向けて
子宮筋腫があると言われると、「この筋腫をどうすればいいのだろう」と不安になるのは自然なことだと思います。
まず大切なのは、筋腫の位置や大きさ、数、子宮内腔への影響などを婦人科で確認することです。
そのうえで、毎月の生理にも目を向けてみてください。
経血量は増えていないか。
大きな塊はないか。
生理痛は強くなっていないか。
生理が長引いていないか。
そして、基礎体温や冷え、疲れ、睡眠などにも変化がないか。
そうした一つひとつの情報が、現在の体を知る手がかりになります。
「子宮筋腫がある=瘀血」と決めつけるのではなく、筋腫がある方に瘀血のサインがあれば、その体質にも目を向ける。
そして血が不足している方には「満たす」ことを、巡りが滞っている方には「巡らせる」ことを考える。
🔴 子宮筋腫そのものだけでなく、その方の体全体を見ながら、妊娠に向けた体づくりを考えていく。
勉強堂薬局では、病院での検査や治療と併用しながら、お一人おひとりの状態に合わせた漢方相談を行っています。
執筆者
平尾 利枝
薬剤師
日本不妊カウンセリング学会 会員
勉強堂薬局で妊活・不妊相談を担当。薬剤師としての知識を生かし、病院での検査や治療状況も確認しながら、漢方の視点からお一人おひとりの体調や体質に合わせた妊活の体づくりをサポートしています。


