2026.08.25
まだ暑い日が続く8月の終わり。実はこの時期から、夏に消耗した体を少しずつ整えていくことが大切です。
妊活中だからこそ、睡眠・食事・冷えなど毎日の生活を振り返り、これから迎える秋、そして冬に向けた体づくりを始めてみませんか。
秋は「整えて、蓄える準備をする」季節
こんにちは。
小諸市の勉強堂薬局です。
8月も終わりに近づきましたが、まだまだ暑い日が続いています。
日中は真夏のように暑くても、朝晩には少しずつ季節の変化を感じる日も出てきました。
東洋医学では、季節の変化に合わせて食事や睡眠、生活を整える「養生」という考え方を大切にしています。
秋は古くから「容平(ようへい)」と表現され、春から夏に成長したものが成熟し、実を結んでいく季節と考えられてきました。
人の体も同じように、暑い夏を乗り越えるために使った体力をそのままにせず、少しずつ整えながら、これから迎える冬に備えていく時期です。
特に今年のように厳しい暑さが続くと、
- 暑さで食欲が落ちた
- 冷たい飲み物や食べ物が増えた
- 冷房の中で長時間過ごした
- 寝苦しくて睡眠不足になった
- 汗をたくさんかいて疲れた
- 暑くて運動量が減った
など、夏の生活が体調に影響していることがあります。
妊活相談でも、
「最近なんとなく疲れが抜けません」
「胃腸の調子がよくありません」
「夏になって基礎体温が安定しなくなりました」
といったお話を伺うことがあります。
涼しくなれば自然に元に戻ると思うのではなく、夏の終わりから少しずつ体を振り返ってみることも、秋の養生の始まりです。
夏の疲れが残っていませんか?
夏は暑さそのものだけでなく、発汗、睡眠不足、食欲の低下、屋外と冷房の効いた室内との温度差など、体にさまざまな負担がかかる季節です。
漢方では、疲れやすい、だるい、食欲がない、軟便になりやすいといった状態が続く場合、「気虚(ききょ)」という体を動かすための「気」が不足した状態を考えることがあります。
また、胃腸の働きが低下している場合には「脾気虚(ひききょ)」などの体質を考えます。
妊活中は「卵子のために何を食べればいいですか?」と聞かれることもあります。
もちろん食事の内容も大切ですが、その前に確認したいのが、食べたものをきちんと消化し、体に必要な栄養を取り込める状態になっているかということです。
夏の間、
「そうめんだけで済ませることが多かった」
「冷たい飲み物をたくさん飲んでいた」
「暑くて朝食を食べられなかった」
という方は、秋に向けて少しずつ食生活を戻していきましょう。
急に特別な食事を始める必要はありません。
まずは三食をなるべく規則正しく食べること。
冷たいものを摂ると胃腸の調子を崩す方は、温かい汁物や加熱した料理なども取り入れてみてください。
秋に向けて、睡眠も見直してみましょう
昨年、勉強堂薬局で掲載した「秋の養生」の記事でも、秋には「早寝早起き」を心掛けることをご紹介していました。
これは現在でも大切にしたい生活習慣の一つです。
夏は日が長く、夜になっても暑いため、寝る時間が遅くなったり、寝苦しさで途中で目が覚めたりすることがあります。
妊活相談でも睡眠についてお聞きすると、
「夜中に何度も起きます」
「朝起きても疲れています」
「寝る直前までスマートフォンを見ています」
という方がいらっしゃいます。
睡眠は心身の健康を維持するうえで大切であり、妊活中だから特別というものではありません。
漢方でも、睡眠の状態は体質を考えるための大切な情報です。
寝つきが悪いのか。
途中で目が覚めるのか。
夢をよく見るのか。
寝汗をかくのか。
朝起きたときに疲れが残っているのか。
同じ「眠れない」でも、その状態によって漢方での考え方は異なります。
まずは夏の間に乱れてしまった就寝時間を少しずつ戻してみることから始めてみましょう。
漢方で考える秋の「乾燥」と「肺」
秋が深まってくると、夏とは違って空気が乾燥してきます。
東洋医学では、秋は「肺」と関係の深い季節と考えられています。
漢方でいう「肺」は、現代医学でいう肺という臓器だけを意味するものではなく、呼吸や皮膚、鼻、体の水分バランスなどを含めた東洋医学独自の概念です。
空気が乾燥してくると、
- のどが乾燥する
- 鼻が乾く
- 肌がカサカサする
- 空咳が出る
- 便が硬くなる
などの変化が気になる方もいらっしゃいます。
秋の食養生では、乾燥する季節に合わせて、食事から適度な潤いを補うことも意識します。
例えば、梨、れんこん、白ごま、山芋などは、昔から秋の食養生に取り入れられてきた食材です。
ただし、「妊活にはこの食材を食べればよい」という意味ではありません。
旬の食材を上手に取り入れながら、偏らずバランスよく食べることが基本です。
涼しくなっても「冷え」には注意しましょう
夏の冷えについては、これまでのブログでも何度かお伝えしてきました。
真夏は冷房や冷たい飲食物などによって、お腹や足に冷えを感じる方がいらっしゃいます。
そして夏から秋へ移り変わる時期には、もう一つ注意したいことがあります。
それが朝晩と日中の気温差です。
昼間は暑いので夏と同じ服装で出掛けたものの、夕方になったら思った以上に涼しかった、ということもこれから増えてきます。
特に、
「足首が冷える」
「下腹部が冷たい」
「冷えるとお腹を壊す」
という方は、気温に合わせて服装を調節できるようにしておくとよいでしょう。
ただし、「妊活中だから常に体を温めなければ」と厚着をしたり、暑いのを我慢したりする必要はありません。
大切なのは、暑すぎず、冷やしすぎず、自分が心地よく過ごせる状態をつくることです。
妊活では「腎」という考え方も大切にします
東洋医学では「腎」は、成長・発育・加齢・生殖などに関係するものと考えられています。
そのため、妊活の漢方相談でも「腎」は大切な考え方の一つです。
ただし、以前の記事で使っていた「腎がホルモンの力をつける」という表現は、現在ではそのまま用いません。
漢方の「腎」と現代医学の腎臓やホルモンは、同じものではないからです。
妊活相談では、
- 年齢とともに月経量が減ってきた
- 腰や膝がだるい
- 疲れが取れにくい
- 冷えが強い
- 反対に、ほてりや寝汗が気になる
といった体調も確認しながら、漢方的に「腎」の状態を考えることがあります。
また漢方では、秋から冬にかけては、活動することばかりを考えるのではなく、体を休ませながら必要なものを蓄えていくことも大切にします。
妊活中も同じです。
「これをしなければ」
「あれもやらなければ」
と、体づくりのために頑張ることを増やすだけではなく、
しっかり食べる。よく眠る。疲れたら休む。
そんな当たり前に思えることも、体づくりの大切な土台です。
秋は、夏の自分を振り返るよい季節です
まだ8月ですので、本格的な秋はもう少し先です。
だからこそ今の時期に、一度夏の自分を振り返ってみてください。
以前より疲れやすくなっていませんか。
食欲は落ちていませんか。
下痢や軟便が続いていませんか。
睡眠不足になっていませんか。
冷房でお腹や足が冷えていませんか。
基礎体温に夏特有の変化はありませんでしたか。
生理の状態はどうでしょうか。
一つひとつは小さな変化でも、漢方では今の体質を考えるための大切な情報になります。
東洋医学には、季節に逆らって体を無理に変えるのではなく、**季節の移り変わりに合わせながら体を整えていく「養生」**という考え方があります。
夏に頑張った体をいたわり、秋に少しずつ整え、そして冬へ備えていく。
妊活も、毎月の結果だけを見るのではなく、季節とともに変わっていく自分の体を見ながら、できることを一つずつ続けていくことが大切です。
この秋は、まず自分の体の小さな変化に目を向けることから始めてみませんか。
執筆者
平尾 利枝
薬剤師
日本不妊カウンセリング学会 会員
勉強堂薬局で妊活・不妊相談を担当。薬剤師としての知識を生かし、病院での検査や治療状況も確認しながら、漢方の視点からお一人おひとりの体調や体質に合わせた妊活の体づくりをサポートしています。


